大川研究室では、エネルギーと環境に関する研究を行っております。 熱と流れは、発電所、燃料電池、ディーゼルエンジン、鋼の焼入れなど、様々な分野において重要な研究分野です。
【気体と液体が混在する場の複雑な熱流動現象を解明する】
水だけや空気だけの流れを「単相流」、水と空気が混ざった流れを「気液二相流」と呼びます。単相流でも熱と流れの様相は複雑ですが、気液二相流では、さらに気体と液体の界面が時々刻々と複雑に変化するため、熱流動現象の理解は気が遠くなるほど困難になります。
大川研究室では、大きいものでは発電プラントの安全性向上、小さいものでは次世代CPUの冷却手法の確立を目指して、「気液二相流」のメカニズム解明に取り組んでいます。
【キーワード】
熱流動、気液二相流、沸騰熱伝達、熱工学、流体工学、混相流、実験、数値シミュレーション、原子炉熱流動、化学プラント、電子機器冷却、ナノ流体
強制対流サブクール沸騰は、各種の伝熱形態の中で、熱伝達率と限界熱流束の両方が特に高い伝熱様式であり、高発熱密度電子機器の冷却手段としてきわめて有望です。本研究では、ナノ粒子層と旋回流を用いることで、強制対流サブクール沸騰の熱伝達性能をさらに引き上げることが出来るか否かを実験的に検討しました。この結果、いずれの方策によっても、限界熱流束の発生メカニズムである大気泡形成を顕著に抑制可能であることが示されました。さらに、大気泡形成開始条件が伝熱面近傍の局所ボイド率より予測可能であること、また、大気泡を形成するためには、気泡径が臨界気泡径を超過して、気泡合体による気泡サイズの増加が凝縮効果を上回る必要があることを示しました。ナノ粒子層の形成や旋回流を得るためのスワラーの設置は多くの場合技術的に困難ではなく、また、本研究の結果によれば、これらの方策により強制対流サブクール沸騰による高温物体の冷却性能を顕著に高めることができます。したがって、本研究で開発した手法は、高発熱密度電子機器の冷却性の向上への応用が大いに期待できます。
旋回流により電子機器冷却に悪影響を与える大気泡形成を大幅に抑制!
旋回流なし 旋回流あり
沸騰とは、身近な現象であると同時に、非常に複雑な現象です。特に、原子力発電所における沸騰現象は、その安全性や健全性を評価する上で非常に重要です。画像解析や数値計算を用いることにより、沸騰現象の理解を試みています。
水などの液中に微粒子(ナノ粒子)を分散させた液体をナノ流体と呼びます。このナノ流体を用いた沸騰による冷却性能は水に比べて2倍ほど向上するが、未だそのメカニズムは解明されていません。
Na高速増殖炉におけるNa漏洩事故を受け、その事故時の評価解析が行われています。配管から漏れたNaは空気と反応し燃焼します。このとき、どの程度Naが広がるか、構造物等に衝突しどの程度飛散するのか、飛散するときの液滴の大きさはどの程度なのかなど、不確かな情報が多いことから、本研究室では実験的にこれらの情報の取得及び評価に努めています。
溶融塩炉は、現在開発が進められている第四世代原子炉の一つで、液体燃料を使用しています。溶融塩炉には、フリーズバルブと呼ばれる弁が原子炉とドレンタンクを結ぶパイプ内に設置されています。事故が発生した際は、フリーズバルブ内の塩が融解することで弁が開状態となり、燃料が炉内から排出されます。
JKAからの支援を受けて、次世代スマートフォン等の高発熱密度電子機器の冷却に応用可能な熱輸送デバイスの開発を行っています。
Nanoparticle coating in heat pipe design for miniaturised cooling
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